ポール・マッカートニーのニューアルバム感想


ポール・マッカートニーの、ビートルズ解散以後通算20枚目、4年ぶりのオリジナルアルバム『ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード』の、DVD付アルバムを買いました。何と言っても、今回は、ポール自身がほとんど全部の楽器を担当してる点が特徴です。

シングルカットもされた「Fine Line」は、ピアノとギターのリズム・カッティングがとても心地良く、コンビネーションが見事な、ミドルテンポの曲でした。詞を見てみると、「向こう見ず(wreckless)と勇気(courage)には、はっきりした区別(fine line)がある」という冒頭の歌詞に惹かれました。ジャケットや歌詞カードに描かれている「線描画」の「線」と共に、「line」はそういう意味だったのかと納得しました。

他には、「Too Much Rain」が、マッカートニー・バラードの真髄で気に入っています。また、ビートルズ時代の「Balckbirdの娘」と、ポール自ら称する「Jenny Wren」は、アコースティックギターサウンドとポールの優しいボーカルがとても心地良いです。転調も見事で、間奏のバイオリンの音のようなハミングも面白いと思いました。

ビートルズ時代の盟友、故ジョージ・ハリスンを意識して作ったという「Friends To Go」は、まるでギターの伴奏とハーモニーをジョージがやってくれているようで、聴いていて目頭が熱くなりました。『Revolver』収録の「For No One」を思わせる、「English Tea」は、ポールの主演映画『ヤァ!ブロードストリート』収録の「For No One」のイントロで聴かれたようなゆったりとしたストリングスのイントロが使われ、曲に入るとミドルテンポの、メロディアスでポップな曲でそた。

去年のグラストン・ベリーでも歌われた「Follow Me」では、またアコギでの弾き語りで、「You lead me to places that I've never seen(君は、まだ見たことの無い場所へ導いてくれる)」という歌詞が、ビートルズ時代の「The Long And Winding Road」に出て来る「lead me to your door(君のドアへと導いてくれ)」を思わせて、とても印象的でした。

「Promise To You Girl」は、多重コーラスといい、ピアノといい、メロディアスなベースといい、間奏のギターといい、まるで永井ルイさんを思わせました(まあ、永井さんがポールに影響を受けているので、逆になりますが)。まさに、多重録音の面目躍如といった所でしょう。

13曲目の、きれいで雄大なバラード「Anyway」に続き、最後の「She Is So Beautiful」ではクラリネットが使われて、とても珍しいと思いました。「she」が、今の奥さんのヘザーさんなのか、前妻の故リンダさんなのか、などと想像して聴くのも面白いと思いました。

とにかく、ポールが63歳にして、いまだ現役ミュージシャンとして活躍し、元気にツアーや曲作りやレコーディングをし、アルバムをリリースしてくれて、本当に嬉しいです。 また来日して元気な姿を見たいです。

これからも、ポールには元気でいて欲しいです!


※DVDの感想は、のちほど。