11/21 ポール・マッカートニー東京ドームライブ(2014年3月22日補筆)

ポール・マッカートニーの東京ドームでのライブ(6回の日本公演の最終日)を見に行って来ました。11年前に見に行って以来で、1990年の2回と合わせて個人的には5回目の生ポールです。7月にファンクラブの先行販売を利用してチケットが取れました(今回、取れない人がかなりいたようです)。しかも、アリーナAブロックと言う相当恵まれた席でした。

入場時、スタッフのかたから赤いサイリウム入りのビニール袋を渡され、同封の紙には、ある曲(後述)でこのサイリウムを使ってポールに「おつかれさま」と「ありがとう」の気持ちを込めてサプライズをしよう、と書かれてありました。それを読んで、開演前にもかかわらず、思わず感激のあまり泣きそうになりました。


開演前、ポールの生まれてから現在までの写真と共に、メドレーで彼のビートルズ時代、ウィングス時代、ソロ時代の曲が流れました。


そして、いよいよワインレッドのジャケットを着たポールが登場し、開演です!バンドのメンバーは、11年前と同じ次の4人でした。


・ラスティー・アンダーソン:ギター、ベース
・ブライアン・レイ:ギター、ベース
・ポール・ウィックス・ウィッケンズ:キーボード、ギター、タンバリン
・エイブ・ラボリエル・ジュニア:ドラム、タンバリン


セットリスト(曲目):
※1960年代と10以外の1970年の曲はビートルズ、1971年及び2000年代の曲はソロ、1972年以降70年代の曲はウィングス時代(ポールが担当した楽器も合わせて書きました)。


1.Eight Days a Week(1964)
2.Save us(2013)
3.All My Loving(1963)
4.Listen to What the Man Said(あの娘におせっかい)(1975)
(以上、へフナーベース)
5.Let Me Roll It(1973)
(エレキ)
6.Paperback Writer(1966)
エレアコ
7.My Valentine(2012)
8.Nineteen Hundred and Eighty-Five 1985(1973)
9.The Long And Winding Road(1970)
10.Maybe I'm Amazed(恋することのもどかしさ)(1970)
(以上、黒ピアノ)
11.I've Just Seen a Face(夢の人)(1965)
12.We Can Work It Out(恋を抱きしめよう)(1965)
(6弦アコースティック)
13.Another Day(1971)
(12弦アコースティック)
14.And I Love Her(1964)
15.Blackbird(1968)
16.Here Today(1982)
(以上、6弦アコースティック)
17.NEW(2013)
18.QUEENIE EYE(2013)
19.Lady Madonna(1968)
(以上、カラフルピアノ)
20.All Together Now(1969)
(6弦アコースティック)
21.Lovely Rita(1967)
22.everybody out there(2013)
(以上、12弦アコースティック)
23.Eleanor Rigby(1966)
(6弦アコースティック)
24.Being For The Benefit Of Mr.Kite(1967)
(へフナーベース)
25.Something(1969)
ウクレレ→ベース)
26.Ob-La-Di, Ob-La-Da(1968)
27.Band on the Run(1973)
28.Back in the U.S.S.R.(1968)
(以上、へフナーベース)
29.Let It Be(1970)
30.Live and Let Die(007 死ぬのは奴らだ)(1973)
(以上、黒ピアノ)
31.Hey Jude(1968)
(カラフルピアノ)
(アンコール1)
32.Day Tripper(1965)
33.Hi, Hi, Hi(1973)
34.Get Back(1969)
(以上、へフナーベース)
(アンコール2)
35.Yesterday(1965)
(6弦アコースティック)
36.Helter Skelter(1968)
(イギリス国旗のベース)
37.Golden Slumbers〜Carry That Weight〜The End(1969)
(黒ピアノ→ギター)


今回のツアー及び日本公演では初披露の1から、エンジン全開でした。「♪Hold me」の部分では、オリジナル通りの「パパン」という手拍子をしているお客さんが多かったです。
ニューアルバムからの2は、ノリのいいエイトビートの曲で、ロックアーティストとしてのポールの才能を改めて感じました。

ここで、ポールがお客さんに挨拶しました。「コンバンハー、トーキオー!タダイマ〜」と言うと、客席からも「おかえり〜!」と言う声が上がりました。

そして、初期ビートルズの代表曲の1つである3では、「A Hard Day's Night(ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!)」の冒頭でジョージが転ぶシーンがステージ後方のスクリーンに映し出されて、タイムスリップした気分でした。曲が終わると、「今晩も、日本語ガンバリマス!でも、英語のほうが得意です!」と言い、お客さんの笑いを誘いました。

4と5はウィングス時代のヒット曲で、1998年に無くなった妻リンダを思い出しました。4が終わってジャケットを脱いでサスペンダー付きの黒いズボン白いシャツ姿になり、終わりまでその格好でした。

5では、イントロの部分もポールが弾き、後半は見事なギターソロを披露しました(同じ左利きのギタリストだったジミ・ヘンドリックスの「Foxy Lady」のソロ部分だったので、次のMCでは「今歌った曲は、ジミヘンに捧げる」と言いました)。また、間奏でのウィックスのキーボードソロも圧巻でした。

6では、1966年のビートルズ来日公演でジョン・レノンジョージ・ハリスンが使用したエピフォンカジノで歌いました(曲の後半では、1コーラス分のコード進行で、ここでも切れのいいポールのソロがありました)。曲が終わって、ブライアンがベースを上にブン投げてキャッチし、裏の「ARIKATO!」と書かれたメッセージを茶目っ気たっぷりに見せました。

7は、2011年に再婚した奥さんのナンシーに捧げたスローバラードで、ナタリー・ポートマンジョニー・デップが出演したミュージックビデオもバックに流れ、雰囲気満載でした。

ウィングス時代の8は、とても力強く歌いました。途中のスローな部分では、ハーモニーがきれいでした。
ビートルズ時代の名曲9は、短いイントロを弾いて始まり、切々と歌い上げました。この曲は、年を重ねれば重ねるほど味わいの出る曲だと思います(間奏は、因縁のフィル・スペクターのアレンジによるストリングスのメロディーをラスティが弾きました*1)。

10は「リンダのために書きました」と言って、まさに絶唱でした(70年代のシャウトそのままでした!)。バックのスクリーンには、リンダや子ども達との映像が流れ、しみじみとした気分になりました。

ここでピアノから降りて来たポールは、アコギを肩にかけて「みんな、元気か〜い?」と言い、お客さんも「イエ〜イ!」と答えました。

ここからはアコースティックタイムで、カントリータッチの11、そして1991年の『MTV UNPLUGGED』以降の定番となった、ギター弾き語りの12と続きます。ウィックスがアコーディオンを弾き、エイブは何と、タンバリンを叩きながらドラムを叩くを言う離れ業を演じました!

曲が終わると12弦ギターに持ち替え、「Let's have a party!」と言うと、お客さんはとても盛り上がりました。

13は、個人的に大好きな曲で、特に転拍子したサビ部分でのハーモニーがとてもきれいでした*2

ここでまたMCがあり、「You're great audience!(君たちは素晴らしい観客だ)」と英語で言って、「サイコー!」と何度も言い、その都度お客さんも歓声を上げました。

ビートルズ時代の14は、生で聴くのは初めてです!3の時にスクリーンに流れた映画でこの曲を歌っているシーンを思い出しました。
15を歌う前には、11年前のライブと同じく、この曲が1960年代の公民権運動で活躍した女性のことを歌ったという話しをしました。月夜をバックに、歌っているポールが舞台ごと上に上がっていって大変幻想的でした。

16の前では、「アイシテマ〜ス」「ジョンニハクシュヲ〜」と言うと、会場からたくさんの拍手が起こりました。ジョンとの思い出を歌ったこの曲を聴くと、思わず涙が出て来ました。

次はニューアルバムから、軽快な17、そしてラップ風な歌い方が取り入れられている18と、どちらも大好きです。常に新しい音楽に挑戦しようとするポールの姿勢に、改めて感心します。

そして、ノリノリなビートルズ時代の19は、何度聴いても飽きません。サックスを模したウィックスのキーボードも、雰囲気満載でした。ギターを持ち替えての20も同時期の曲で、曲が進むにつれてテンポが速くなり、終わりには最高潮になりました。

再びギターを持ち替え、客席と「Do you have a good time?(楽しんでるかい?)」「イエ〜イ」という掛け合いをしたあと、「アルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』からです」と言い、21を歌いました。間奏のウィックスのソロは、これまた、見事でした。
22は、ニューアルバムからの曲で、今回のツアータイトルにもなっています。タイトな曲で、「Eberybody out there!」という力強いシャウトが印象的です。「♪ウォウ、ウォウ」をお客さんと掛け合いました。

再びビートルズ時代の23では、エイブもドラムからステージ前方に降りて、ハーモニーに加わりました。ウィックスのキーボードは、忠実にストリングスのアレンジを再現していました。

曲が終わるとポールは、「イエイエ!」などと楽しそうにお客さんと掛け合いをしました。

そして、21と同じアルバムから、ジョンの曲である24を歌いました。ポール自身がジョンになったつもりで歌っているようでした。途中のサウンドエフェクトも、当時はテープを切り刻んで再びつなぎ合わせて作ったそうですが、今では簡単に出来ます。

25の前では、「ジョージニハクシュヲ〜」と客席に呼びかけたので、本当に涙が出るほど嬉しかったです。11年前と同じウクレレで歌い始めたので、それで終わるかと思いきや、何と途中からオリジナルのアレンジになり、オリジナルに忠実なラスティのギターソロとブライアンのベースプレイも聴けました。曲の最後に、若い時のジョージの顔がスクリーンに映し出されると、また涙が出そうでした。

26の前では、ポールがサビを一緒に歌って欲しいと言い、曲が始まりました。ビートルズを知る前にインストでよく聴いていたこの曲も生で聴けて、大変嬉しいです。途中、観客にサビを歌わせるなど、この曲にぴったりの和気あいあいとした雰囲気でした。歌い終わると、「チョ〜サイコウ!」と言い、またお客さんは喜びました。

27では、最初のスロー部分ではハーモニーがとてもきれいで、ブライアンの12弦アコギが高らかに鳴って始まったテンポが速い部分では、ポールのシャウトもいっそう力強く響きました。

28は、お客さんと一体になってノリノリでした。途中のビーチ・ボーイズ風のコーラスもバッチリときまりました。なぜか曲が終わって、ドラムを叩き終わったエイブとポールが、にこやかに人差し指と中指をくっつけ合ったのは微笑ましかったです。

そして、黒いピアノに移動して、永遠の名曲29のイントロを弾き始めました。月日が経つごとに、より曲の深みが増していくような気がします。11年前も今回も様々な事件や災害の後だったので、しんみりとした気持ちになりつつも、力強く励まされたような気がしました。

30は迫力満点の曲で、お馴染みのマグネシウム演出がありました。今回は、火の玉は飛ぶわ、花火は上がるわで、お祭り騒ぎでした。何度か生で聴いているので驚かないと思いましたが、それでも驚きました。最後の爆発の前には耳を思いっきり塞ぎ、終わった後はいつものお約束で、ポールは「耳に悪いよ」と茶目っ気たっぷりな仕草をしました。カラフルピアノに移り、「スゴイネ!(耳が)聞こえない。ダイジョウブ?」とお客さんに気遣いも見せました。

そして31の、これまた永遠の名曲です!珠玉のメロディーと励ますような歌詞をじっくり味わいました。最後のコーラスではポールがピアノから立ち上がり、「ダンセイダケ」「ジョセイダケ」というように分け、お客さんもそれにきちんと応じました。ポールは、コミカルな動きでそれぞれ男性っぽい、もしくは女性っぽい仕草をしました。

ここで5人は退場し、アンコールになりました。

32は、初めて生で聴きました。1966年のビートルズ来日公演でも歌われ、メロディアスなベースに合わせて歌うポールは、最高にカッコよかったです。
「イクゼ〜、トキオー!」と言って始まった33は、20のように曲が進むにつれてテンポが速くなる曲で、曲の終わりには盛り上がりが最高潮に達しました。
34は、9や29と同時期の曲で、映画『Let It Be』での、寒空のビルの屋上で行われたビートルズ最後のライブが思い出されました。

ここで再び5人は退場し、2回目のアンコールになりました。

さらに、これまた永遠の名曲35では、冒頭に書いたように、お客さんが入場時に渡された赤いサイリムを左右にゆっくりと振り、思わず涙が出ました。心なしかポールも、感動していたようで声が少し詰まる場面もありました。

一転、日本初披露の36では、英国国旗のベースを演奏しながら、オリジナルキーでシャウトしまくりで、圧巻でした。ライブ後に外に出て駅までの道すがら、「71歳になってこの曲を歌えるのはすごいな〜」と言っていたお客さんがいましたが、本当にそう思います。なおこの曲では、ウィックスまでキーボードの席でギターを弾いていました。ずいぶん多才なプレイヤーだと感心しました。

37では、まず最初の2曲をピアノで歌い、「The End」ではラスティやブライアンとギターソロの競演で大いに盛り上がりました。そして、11年前と同じく、最後にスクリーンに夜明けの太陽が映し出されると、また涙が出て来ました。改めて、「明けない夜はない」という思いを強くしました。


ポールをはじめ、バンドメンバー、ナンシーさん、音響や証明などスタッフの皆さんに心から感謝します。前回同様、ポールが話した言葉を字幕キャプションに瞬時に翻訳してスクリーンに映すという翻訳スタッフの皆さんにも、敬意を評します。
さらに、ビートルズ時代に共に活躍したジョン、ジョージ、リンゴ、マネージャーだったエプスタイン、プロデューサーのジョージ・マーティンウィングス時代から亡くなるまでポールを支え続けたリンダ、デニー・レーンなど他のメンバー、ポールに関わった全ての皆さんに、感謝、感謝です!!


ポールが最後に言った「マタ、アイマショウ〜!」の言葉を信じたいです。Thank you very very much for coming to Japan! See you next time!


※ライブ直後に書いたものを、3月22日にCS800スカチャン0で放送された映像も参考に補筆しました。
※引用元を明らかにして頂ければ、他のブログで使って頂いても構いません。
※参考となる画像、音源、映像は、ここでは載せませんので、ネットで探してみて下さい(^_^)

*1:アルバム『Let It Be』では、ポールの意図に反して、この曲にスペクターが絢爛豪華なオーケストラをアレンジに加えたことでポールの怒りを買い、以後2人の関係はずっと冷め切ったままのようですが、近年はこのアレンジを取り入れて歌っています。

*2:ちなみに、オリコンでは最高位7位